新しい社食へアップデート。第3の賃上げはランチから始まる。~代表取締役社長 上形秀一郎インタビュー~
- 未央 東
- 6月9日
- 読了時間: 6分
更新日:6月9日

第3の賃上げは、ランチから始まる。
—— 選ばれる企業になる「社食」のアップデートへ——
「第1の賃上げ」とは定期昇給、「第2賃上げ」とはベースアップ…。そして今、従来の賃上げとは異なる、福利厚生を活用した「第3の賃上げ」が注目されています。
物価上昇が顕著になった2023年以降、実質的に従業員の手取りを増やす効果や、企業側の税負担を抑えられる手段として、福利厚生サービスを「賃上げ」の代替策として強化する企業が急増しています。
これまで、福利厚生といえばリゾート会員券や施設特典といった勤務外での利用が主流でした。しかし近年では、「働き方自体のパフォーマンスを向上させる」勤務内の「社食」の価値が、再び見直されてきているのです。
そんな新しい時代の「社食」について、弊社代表取締役 上形秀一郎にインタビューを行いました。

「社食のアップデート」は、企業の経営課題でもある
私はもともと、監査法人で企業経営の支援をしていました。その経験から感じていたのは、「福利厚生は単なる“コスト”ではなく、“人材戦略の一部”である」ということです。近年、テレワーク、副業、時短勤務など、働き方は大きく変わりました。しかしその一方で、オフィスでの“食環境”はアップデートできていないという企業がまだまだ多いと感じました。「金額は安いけれど、社員食堂の雰囲気が殺風景」「混んでいて時間がかかる」「野菜が少なく、健康への配慮が足りない」少なくない投資費用をかけて社食を設けたにもかかわらず、そのまま古い形態を維持していては、人材獲得競争において優位性を発揮する福利厚生のはずが、投資の費用対効果が薄れてしまうと考えました。
採用戦略としての社食
「会社満足度調査」では、「社食のある企業」の方が従業員の満足度が高いことが明らかになっています。また、新卒採用に関する調査でも、約半数以上が「ランチ補助のある企業は志望度に影響を与える」と回答しています。このような背景から、「誰もが憧れる新しい社食」を導入すれば、人材獲得競争における「大きなフック」になると考える経営陣が増えています。

社員食堂は、“人を集め、会社を育てる”場に変わる
社員食堂は、食事をする場所であると同時に、「対話のきっかけ」を生み出す空間でもあります。私たちが社食を導入している企業様の現場で目にしたのは、カフェのような空間で部署を超えた交流や、国際色豊かな社員同士が食を囲み、笑い合っている瞬間です。社食は、もはや「福利厚生のひとつ」ではなく、企業文化そのものをつくる場になりつつあります。新しい社食とは、人が自然に集まり、会話が生まれる「フードコミュニケーション」の場だと考えています。
「新しい社食」の5つのポイントとは?

1.社食のイメージを覆す空間デザイン
働く人々が自然と集いたくなるような空間こそ、現代オフィスに必要な「余白」と考えています。社食にはEDMやボサノバの音楽、金髪でノリの良い店長、さらには日本庭園の設置といった演出を取り入れ、まるで表参道のカフェやホテルラウンジのような雰囲気を創出します。ランチタイムにホッと一息ついける瞬間を作ることで、午後の仕事への活力や集中力が高まります。こうした空間の「余白」が、創造性を刺激し、自然な雑談や気軽な相談の機会を生み出すのではないでしょうか。

2.社内で話題が広がる、会話のきっかけづくり
「会話のきっかけを生む」ことは、今の時代において重要な価値のひとつです。国籍や年齢、立場を問わず、気軽にフランクな会話が生まれる場を求める企業が増えています。食事を共にすることで自然と交流が深まる「食を通じたコミュニケーション」は、そのニーズに応えるものです。
各事業部を紹介するイベントメニュー (例:宇宙や旅行など、各事業部のテーマに合わせた特別メニューを提供)
季節の野菜を使った地域応援メニュー (例:各拠点のご当地メニューや、グローバルな食材を使った企画)
社員参加型のメニュー投票イベント (例:アンケートでメニューを決定し、社員の声を反映する仕組み)
こうした工夫により、社員同士の会話が生まれ、社内コミュニケーションの起点となります。オフィス内で気軽に“ちょっとした体験”ができる。それが、現代に求められる「話題になる社食」です。

3.野菜を軸にした健康経営
現代人に不足しがちなビタミンや食物繊維を効率よく補うためには、「野菜」を中心としたメニューが不可欠です。また、国際色が豊かな職場では、「食べられる食事がない」というシーンはあってはなりません。そこで、定番の「定食」「麺」「丼」に加え、新たに「野菜」を主軸に据えたメニューをラインナップし、ヴィーガン対応や健康志向のお客様にも配慮した、インクルーシブな食事の提案が注目されています。

4.待たせないモバイルオーダー
「待ち時間の長さ」は、社食利用を避ける理由の筆頭です。逆に、待ち時間が少ないことは社食を利用したい最大の理由にもなります。そこで、最新の社食では、モバイルオーダーを活用し、会計にかかる時間を大幅に削減。約30分程度の限られた休み時間でも、バランスの取れた定食メニューをスムーズに楽しめる環境を作ることができます。

5.キッチンレスで手軽に導入
高層ビルなどに新たにキッチンを設置する場合、施工費や退去時の原状回復費用が数千万円規模に及ぶことがあります。こうした課題で、社食導入を諦めてしまう企業様は多いです。そこで、投資費用の壁を解消する手段として注目されているのが「キッチンレス社食」です。セントラルキッチンからのケータリングにより、オフィスに温かい食事を配送し、ホテルパンに盛り付けて提供する仕組みです。初期投資を抑えることで、食事そのものの品質向上にコストを集中できる、費用対効果の高いモデルが支持を集めています。

ランチタイムから、会社を変える。
これからの企業は、単なる「福利厚生」としての社食ではなく、社員同士の繋がりを深め、企業文化を形成し、人材獲得競争において確かな差別化を生む「新しい社食」の実現に取り組むことが求められます。
ランチという日常の中に、働く喜びや創造のきっかけを生み出す空間をつくること。それこそが、企業の未来を切り拓く「第3の賃上げ」ではないでしょうか?
ランチタイムから、会社や社会を変える。そんなムーブメントを作っていけたら、社食業界が未来の働き方を牽引する、新しい起爆剤なるのではないでしょうか。
ノンピ株式会社
代表取締役社長 上形秀一郎
上形 秀一郎プロフィール
・有限責任監査法人トーマツ に入社 スタートアップ支援やIPO支援、フード関連企業の支援業務に従事。 
・外食メディアを運営するスタートアップ の取締役副社長に就任 フードメディアの立ち上げに関与し、経営経験を積む。 
・外食系上場企業 でCMO(最高マーケティング責任者)を務める カフェを運営する企業のターンアラウンド(再建)に携わる。 
・2018年7月 株式会社ノンピに参画
・2022年 株式会社ノンピの代表取締役社長に就任
法人向けカフェやケータリングの運営などを手がける
【会社概要】
会社名 :株式会社ノンピ
代表 :代表取締役 上形 秀一郎
本社 :〒100-0003 東京都千代田区一ツ橋1丁目2−2 竹橋ビル 16階
事業内容:・社員食堂、キャラクターカフェのプロデュースと運営
・ケータリングサービス「nonpi CATERING」の運営
・法人向けフードデリバリー「eazy catering」の運営
・法人向け社員食堂「nonpi Chef's LUNCH」の運営
・カフェ/コーヒー豆販売サイト「R.O.STAR」の運営
・藤子・F・不二雄ミュージアムカフェの運営