こんにちは!広報の光山です。
ノンピでは先日、サステナビリティ推進チーム”Think the Earth”の活動の一環としてプラントベースフードWeekなるイベントを開催いたしました!
この記事ではイベントレポートの第二弾として、本イベントのメニュー考案者であり”Think the Earth”チームのメンバーでもある佐野シェフのインタビューをお届けしたいと思います!
※イベントレポート第一弾はコチラ!
プラントベースフードWeekとは?
開催期間:2022年1月31日(月)〜2月7日(月)
ノンピが社内ランチを運営する3社で、1週間プラントベースフードをご提供しました。
メニューに使う代替肉とオーツミルクはNEXT MEATS様からご提供頂きました。
代替肉はカルビやハラミに、オーツミルクはプリンにしてご提供しました。
NEXTカルビのプルコギ風
Think the Earthメンバー 佐野シェフ Interview
※インタビュアー:ノンピ篠崎(Think the Earth プロジェクトリーダー)
Think the Earth メンバー 佐野シェフ
牛肉1㌔に対して水2万リットル。料理人が地球環境に貢献できるインパクトは大きいと思った
篠崎:
今回、Think the Earthにとって始めてのイベントでしたし、メニュー考案や関係各所への調整などで色々大変でしたね。おつかれさまでした。
佐野さん:
思ってた以上に大変ではありましたね。
「イベントやるぞ!」と言って勝手にできるわけではないので。
ノンピ社内、そして社食を提供しているクライアント様に理解を頂かないといけない。
篠崎:
そのあたりは、佐野さんが提示してくれた水や温室効果ガス削減効果の数字のインパクトが強くて納得してもらえたところはあると思います。
佐野さん:
前提としてノンピ社内もそうですし、ノンピがお取引させて頂いている企業様は大企業が多いのでSDGsに関して関心は高いであろうという予測はあって、ご理解頂けると期待はしていました。
また「なぜイベントをやるのか?」「なぜ代替肉なのか?」が実際に食べるお客様に伝わるように、水や温室効果ガス削減効果などの数字面はしっかりと情報を提示したつもりです。
篠崎さん:
牛肉1㌔に対して水2万リットルという数字はインパクトありますよね。
佐野さん:
どういうこと!?ってなりますよね。笑
要するに牛を育てる中で、牛が飲む水、牛が食べるトウモロコシなど穀物を育てる水をすべて合わせると「牛肉1㌔に対して水2万リットル」という数字になります。
そして牛肉は輸入に頼っている部分も大きいので、水を輸入してるという風にも言えて、バーチャルウォーターという考え方もあるんです。今、干ばつなど起きている中であえて水を輸入してるってどういうこと?とか。
そこに加えて*牛のゲップに含まれるメタンガスは全世界で発生している温室効果ガスの約4%を占めると言われ、地球温暖化の原因のひとつと考えられています。さらに空輸や海輸の過程でもCO₂を排出している。様々な観点で、牛肉の環境負荷というのが注目されているわけです。
僕たち料理人の立場から見ると、牛肉1㌔に対して2万リットルの水を使うと考えたら、例えば牛丼を提供するために牛肉40~50キロ加工することで80万~100万リットルの水を使うことになる。それをしなければすごい量の水とか温室効果ガスの削減になると考えた時に、メニューの選定って環境負荷へのインパクトがすごく大きいじゃないですか。
* 参照:農研機構=National Agriculture and Food Research Organization(略称:NARO)
篠崎さん:
そうですね。
佐野さん:
こんなに貢献できる部分があるなら、やりたいと思ったんです。
週1回ずつの活動でも、1ヵ月、1年と積みあがればボディブローのように地球に優しく帰ってくるのかなと。食事を提供する立場としたらもちろん美味しさも大事にしながら、環境問題への貢献にも意味を感じました。
お客様からは想像以上の関心を頂けた
篠崎さん:
実際にイベントをやってみると、お客様がPOPを見てくださったり、プラントベースのメニューが完売したり、そういう現象を見ていると環境問題に意識がある方がいるんだなというのは見えました。
一方でアンケートでは7割の人がプラントベースを食べたのが初めてというデータもとれました。面白かったのは5割くらいが牛肉と比べたら物足りない。残りの半数は牛肉と同等かそれ以上。というデータも見られて、反応は割れましたね。非常にリアルな、生々しいご意見をいただけたかなと思いますけども。
佐野さん:
逆に考えるとポジティブな意見がまあまああったぞ。と言えますよね。
篠崎さん:
確かにそうですね。
佐野さん:
アンケートが返ってくるというのは興味が少しでもあるからフィードバックをして頂けるということだと思うので。素晴らしい結果と捉えていいのではないでしょうか。
Think the Earth プロジェクトリーダー 篠崎
日常に浸透していくためにできること
篠崎さん:
今回、メニューを作るときに気を使った部分はありますか?
佐野さん:
レストランではなく社食なので、奇をてらったものではなく「麻婆豆腐」「焼肉」など、日常的に食べているものが代替肉になった方が実感もしやすいし。「あ、ここは違うな」とか「ここは似ているな」というのを感じやすいメニューにはさせてもらいました。
特別過ぎて身近に感じられないものではなくて普段食べているもの。
食べたことがあって、なんとなくイメージがつくものをメニューにしました。
篠崎さん:
イベントが終わりじゃなく、継続させていくことが大事だと考えた時に、今後料理を作る上で重要になってくるのはどういう部分でしょうか。
佐野さん:
ノンピは今ありがたいことにクライアント様がドンドン増えている状況で。
その中で拠点ごとに別のメニューを展開していると力が分散してしまうので、メニューの統一化というのを進めているんですね。
統一して同じメニューを作ることによってクオリティを高めていこうっていう考えがある中で、拠点ごとにベジタリアン・ヴィーガン・プラントベースなど色んな要望をもらいます。
料理人としてできるだけ要望に応えたいと思いながらも、実際は一筋縄でいかない。
厳密に突き詰めていくとヴィーガンなどは同じ空間の中でお肉の調理をしてはいけなかったり、ハードルがあります。
統一メニューの中で、まずはプラントベースから始めていき、徐々にハードルをクリアしていくようなプロセスが必要になると思います。
篠崎さん:
そもそもは環境負荷を減らしたいっていう目的があるじゃないですか。あんまりハードルが高くて実現できないっていうのももったいないところではありますよね。
佐野さん:
そう。だから、まずはマスなところで捉えた方々に対してアプローチしていって。
定量的に「1年間でこれだけの肉を削減したことによって、これだけの温室効果ガスを削減ができてる」とか、「水に換算するとこれだけのヴァーチャルウォーターが減らせてるよ」っていうのが見せられたりとか、やってる側も「そんなに水削減できてるの」っていうインパクトのある数字が見えてくるとコストがかかることを加味してでも取り組みをしていく協力者が増えていくと思うんですね。
篠崎さん:
代替肉が浸透していくためには味だけでなくコスト面など様々なハードルをクリアしていく必要があるということですね。
プラントベースフードの今後の展望
佐野さん:
今後、世界の人口は増加していく見込みです。日本は少子化で減少傾向ですが。
世界全体で見ると増加傾向なので畜産は足りなくなっていくのがわかっている状態です。
枯渇してくるのが目に見えている中で、日本は輸入に頼ってるので牛肉にしたって何にしたって入ってこない。入ってきても価格が高騰していきます。
そうすると、代替肉の方が価格が下がる日が来ると思います。
篠崎さん:
そうすると、人口増による生産キャパに限界がきている流れの中で、自ずと浸透していく流れが来そうだということですね。
佐野さん:
そうなるはずです。ただ、大豆も限界があるので。大豆じゃないものでお肉みたいにするという開発も。
篠崎さん:
ネクストミーツさんも言ってましたもんね。大豆をずっと使うわけじゃないから。代替肉という表記にして欲しいと。
佐野さん:
そうですね。
篠崎さん:
そもそも代替って言葉も、もしかしたら子どもたちは当たり前のように代替肉に親しんでいくと、肉とは別のジャンルって考えていいんじゃないかって。
佐野さん:
将来的に別の名前が付きそうな気もしますね。昨日柿沼さん(ノンピ代表取締役)と話していて「敢えて肉っぽくする必要あるんかいな?」って(笑)。確かにねと。
篠崎さん:
肉と思って食べちゃうと肉と比べちゃうじゃないですか。どうしても。
佐野さん:
そうですね。
篠崎さん:
ごはんは進むから、肉じゃなくて別のものを食べてるって認識でいいと思うんですよね。タンパク源として。
佐野さん:
入口として「代替肉」っていう方がアプローチがしやすかったのかもしれないですね。
僕らはこういったイベントを続けながら、何か別の呼び方とかを模索していって。
何よりもお客様に喜んでもらえることを第一義として、食べてもらえる工夫をしていきたいですね。それが結果的に環境負荷・環境配慮につながっていく第一歩だと思うので。
篠崎さん:
色んな工夫をしながらプラントベースフードを展開していきたいですね。
Think The Earthにはいろんな人たちがいるじゃないですか。その人たちがアイディアを出しあってプラントベースフードの再定義をしながら、日常に溶け込んでいきたいですね。
佐野さん:
またイベントやりましょう。
篠崎さん:
やりましょう。
佐野さん:
日常的なメニュー化も進めます。
篠崎さん:
ぜひ!
(余談)日本人は江戸時代まで肉を食べていなかった
篠崎さん:
レストランで長く料理人をされていた佐野さんの感覚としては日本で代替肉が出てきたのは最近の話でしょうか?
佐野さん:
ベジタリアン、ヴィーガンの方々はそういったものを食べたりしていました。ハンバーグにしたりとか。
でも、敢えて代替肉を使うということはなかった。
基本、野菜をベースとして食事をしていくというのが趣に合って。
それが健康も司ってるし、肉というのは体を壊すものという考え方が根本にあります。
篠崎さん:
環境負荷というか健康視点で?
佐野さん:
もともとはそういうところだと思いますね。
篠崎さん:
精進料理とかもそういうところから来ているんですか?
佐野さん:
日本人は基本的に昔は肉食じゃないので。明治以降なので、肉を食べるようになったのが。
江戸時代までは菜食主義な国民性でしたから。
篠崎さん:
日本人は元々は肉を食べてなかったのですね。
佐野さん:
基本的に菜食主義です。肉を食べない文化だった。
よく言われるのは飛脚っているでしょ?あの人たちは平気で大阪まで二日とかで走っていっちゃうんですが、なんでそうだったか。にぎり飯を2~3コだけ食べてそのエネルギーだけで行っちゃうパワーを日本人は持ってる。その方がパワーを発揮できる体だった。
篠崎さん:
それって半分精神論的なところも??
佐野さん:
あと人種的にそうみたい。だから背丈が小さくて小柄で素早い。食生活が変わってきたから最近、背が高いとか足が長いとかそういう風になってきた。
篠崎さん:
もともとは少ないエネルギーで最大限動くための体の作りだったものが、少しずつ欧米の文化が入ってきてそっちに寄ってきている?
佐野さん:
そうそう。で、だんだん変わってきて。体のつくりが。
篠崎さん:
食事が体の成長とかに影響があるんですね。
佐野さん:
そうですね。欧米化しだしてるってことじゃないでしょうか。
篠崎さん:
なるほど。じゃあ、プラントベースな食事っていうのは元来の日本人の食生活に戻るようなところもあって、新しいようで古い文化なのですね。笑
佐野さん:
そういうことですね。笑
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